2024/02/16 14:04
今回は浅煎りコーヒーの美味しい酸味について、お話します。
コーヒーショップを日々運営している中で、浅煎りの、酸味が美味しいコーヒーについてまだまだ知ってもらえる余地があるなと思うことが多々あります。コーヒーの味の好みは人によって様々で、例えば深煎りのコーヒーの苦味、ボディ感、複雑さ、甘さが好きな方もいれば、浅煎りの果実感があって爽やかで、クリアな印象のコーヒーを好んで飲まれる方もいらっしゃいます。それ以外にも、どの焙煎度のコーヒーも幅広く好んで飲まれる方もいたりと、その楽しみ方はさまざまあると思います。
日々お店に立つ中で、お客様がコーヒーを選ぶ際に、酸味のありなしだったり、酸の強度の強さ、弱さで珈琲を選ばれる方が多いなという印象を受けます。コーヒーの酸味は、コーヒーを選ぶ上で大きなポイントになってくる部分かなと思いますし、酸味が感じられる浅煎りの美味しいコーヒーを未体験という方もまだまだ少なくないと思います。これは、浅煎りにして、美味しい酸味を楽しめるコーヒーが気軽に割とどこでも日本で楽しめるようになってきて、まだ10年そこらしか経っていないこともあり、その楽しみ方が浸透していないという背景もあると思います。
私のお店では浅煎りをメインに、深煎りのコーヒーも数種類取り扱っており、私個人としては浅煎りももちろん好きですが、深煎りの苦味が軸にあって、じんわり甘いコーヒーも本当に好きで、幅広くコーヒーを楽しんでおります。なので、どんなコーヒーであっても、最終的には自分が美味しい思えるものを楽しむことが一番だとは思いますが、今後皆さんがコーヒー屋さんに足を運ぶ際に、是非美味しい酸味を感じられるコーヒーを体験いただき、コーヒーを楽しむ幅をより広げていただけたらと思い、楽しみ方や魅力について少しでもお伝えできれば良いな思います。
コーヒーの酸味がネガティブに思われる理由
まずはコーヒーの酸味がネガティブに思われてしまう理由についてお話しします。
コーヒーの酸味には美味しく感じられるものとそうでないものがあり、美味しく感じない酸味のコーヒーが出来上がってしまう要因は、いくつかあります。
①抽出されたコーヒー液が時間が経ってしまい、保温器などで煮詰まってしまった場合。
②コーヒー豆が適切に管理されておらず、コーヒー豆自体が酸化してしまっている場合。
③コーヒー自体の品質が良くなく、未成熟な豆などが混入してしまっている場合。
これらの要因で美味しく感じられない酸味が含まれているコーヒーを口にしたことで、コーヒーの酸味は美味しくないと記憶してしまっているかもしれません。もちろんそもそもの味の好みとして、酸っぱいもの自体をあまり好まないという方もいらっしゃるかと思います。
他には、コーヒーは苦いものというイメージがあって、潜在的に酸味があるコーヒーを苦手と思ってしまっている方もいるかなと思います。
美味しい珈琲の酸味とはどういったものか
続いて、美味しいコーヒーの酸味とは何かお話します。
コーヒー豆はコーヒーチェリーと呼ばれる赤い果実の種子を取り出して、焙煎したものです。コーヒーは果物からできているため、このコーヒー豆を浅煎りに焙煎して、適切に管理、抽出することで果実由来のフルーティーな酸味を感じることが出来ます。
この酸味の印象は、コーヒーに含まれる有機酸の種類や含量の割合、甘さの強度や質感も合間って、さまざまな感じ方、表現がされます。
オレンジ、レモン、グレープフルーツのような柑橘系に感じることもあれば、ストロベリーやブルーベリー、カシスなどのベリー系、その他マスカットやブドウ、青リンゴ、トロピカルフルーツなど様々なフルーツの印象を感じることが出来ます。
この違いは、コーヒーの品種や生育環境、精製方法、焙煎アプローチの違いなどによって大きく影響しております。
例としては、
エチオピアのナチュラルプロセスの珈琲は、ベリー系の華やかな明るい果実感が特徴的で、
ウォッシュドでは、柑橘系の果実味や優しいフローラルのような印象が感じられやすいです。
ケニアはカシスやブラッドオレンジのような、濃厚な明るい果実感が特徴的です。
美味しい酸味のコーヒーの楽しみ方、向き合い方
最後に美味しい酸味のコーヒーの楽しみ方についてお話しします。
オレンジジュースやブドウジュースなどの果汁100%ジュースは酸っぱさが非常に心地よく、そして果物ならではの甘みもしっかり感じられて、非常に美味しい飲み物だと思います。ただ、レモン果汁だと酸っぱすぎて、そのままだと美味しく感じにくいと思いますが、甘味のある飲み物にレモン果汁を入れることで酸味を心地よく感じられ、バランスが取れて美味しく飲めることができると思います。
美味しい浅煎りのコーヒーも同じように、果実由来の酸味と珈琲のもつ甘さのバランスがよいコーヒーだと美味しく楽しむことが出来ます。
その他、浅煎りコーヒーの良さとしては、口の中に含んだ時の質感も細かく表現されており、何より雑味がなく非常にクリアな印象を持っております。
浅煎りを提供しているコーヒー屋さんであれば、その珈琲が持つフレーバーやどんな果実味を感じやすいかなど、そのコーヒーの評価やフレーバーの印象など細かく提示しているお店が多いと思いますので、まずは自分の好みに合いそうなフレーバーのものを選んでいただき、コーヒーは果物から出来ているということを思いながら飲んでみると、美味しく楽しめるかもしれません。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。